退職には会社都合退職と自己都合退職というものがあり、会社都合退職は会社側からの解雇。自己都合退職は自分の意思での退職という意味です。
このふたつは会社をやめるという点は同じなのですが、失業保険の取り扱いや有休消化などにメリットやデメリットが生じて来ます。
知らない間にトラブルになってしまう前に、しっかりと条件を理解しておきましょう。
会社都合退職の方が失業給付金を早くからもらえる
まず、会社都合退職と自己都合退職の一番の違いは失業給付金が変わります。自己都合退職の場合は離職票を提出してから3ヶ月以上も失業給付金をもらうことができませんが、会社都合退職の場合は約5週間目から支給されます。
そして、条件は個々で変わりますが、自己都合退職だと給付期間は90日~150日、会社都合退職だと90日~330日と差が開きます。
会社都合退職では解雇予告手当をもらえる場合がある
会社都合退職をした場合には離職日の30日以上前に解雇を予告しなければいけないという義務があり、もしもその義務を会社が怠った場合、従業員は会社から30日分の給料を「解雇予告手当」としてもらうことができます。
しかし自己都合退職では解雇予告手当をもらうことはできません。会社都合退職と自己都合退職では、金銭面を考えるとどうしても会社都合退職の方がメリットが大きいことがわかりますね。
会社都合退職と自己都合退職、どちらでも有給休暇は消化できる
では有給休暇については会社都合退職と自己都合退職ではどんな違いがあるのでしょうか。有給休暇というのは労働基準法で保証されているものなので、基本的に会社は拒否をすることができません。
退職時に出勤率が80パーセントを超えていれば有給休暇を消費してから退職することができるのです。やめてしまうから有給休暇をもらうのは申し訳ないという気持ちは捨てて、しっかりと会社に取り合い、まずは自分の有給休暇の日数を把握しましょう。
しかし、その有給休暇の日数がわかったところで、「明日で退職するので有給休暇を使います」というのは会社にとってとても失礼なこと。退職日を決める前に、有給休暇と引き継ぎの日数なども考えて相談を持ちかけるようにしましょう。
有給休暇をしっかりと使えて、更に円満に退職するまでが自己都合退職に大切なことだといえます。しかし、もしも会社側が有給休暇を認めない場合には、上司や総務部などに相談を持ちかけ、それでも認めてもらえない場合には労働基準監督署へ相談に行きましょう。
正しい手続きを踏んで有給休暇を得る分にはあなたに非はありません。言いくるめられてしまい後から後悔してももう時間は戻せないのです。
自己都合退職をした後から会社都合退職に変更されるケースも
もしも自己都合退職をした後でも、会社都合退職に変えられるケースも存在します。
・通勤に往復4時間以上かかるようになってしまった
・労働条件が契約内容と異なる
・給料支払いの遅延や未払い
・給与額が85パーセント未満に減額された
・残業時間が月に45時間を超え、その状態が3ヶ月以上続く
・仕事内容の大幅変更
・更新前提だった雇用契約が更新されない
・セクハラやパワハラがあった
・休職命令が3ヶ月以上続いた
・会社が法令違反をした
これらに当てはまった場合にはハローワークが会社都合退職と認めるケースがあるので、相談をしてみるのもいいでしょう。
自己都合退職をするときに、どうしても今すぐやめたいという場合には、即時に退職することも可能です。セクハラやパワハラが原因の自己都合退職の場合、無理してそんな会社に残る必要は全くありません。
長年勤めてきた会社をやめることは後ろめたさを感じることもあるかもしれません。しかし、自己都合退職は法律で決められているあなたの権利です。まずは上司と相談し、しっかりと会社の規則をチェックすることをオススメします。