「帰りたいけど帰れない」家庭を疎かにして仕事ばかりの夫の本音

仕事ばかりに精を出す夫の姿仕事

私は決して仕事ばかりの夫ではありませんでした。ですからその立場での経験談はありません。

私の現役時代の職場は世間から見れば、ある意味特殊な職場でした。繁忙期と閑散期がはっきりしていて、超過勤務はほぼ繁忙期に集中していました。その時ばかりはプチ仕事漬となりました。

一方閑散期と言えば、長期の夏季休暇に8月は午前中だけの勤務でした。同業他社も同じようなものでした。これでは仕事漬けになるはずないですよね。

しかし、これは40年も前の話。現在の状況は仕事漬け(仕事ばかりの夫)の職員を多く生み出しています。忙しくなっているのですね。

スポンサーリンク

仕事ばかりの夫とは何者?

仕事ばかりする夫の考えていることが分からない

仕事漬けのみなさんは、胸に手を当ててみてください。きっと脳裏に浮かんでくるのは寂しそうな奥さんの顔ではないでしょうか。それとも子供たちの怒った顔(約束を守っていないので)。

共働きなら同じ立場ですから、忙しい仕事の状況をお互い分かりあっているはずです。でも、女性は仕事から帰って来て、家事をこなさなければならない家庭が一般的ですよね。

夫が疲れて仕事から帰ってきて、妻といえば同じく少し前に帰ってきていました。やはり疲れている妻はソファーで寝っ転がっています。こんな時「夕飯はまだ?」「たまには掃除したら」などと小言。妻もあなたと同様疲れているのですから、これはダメですよね。

 だったらどうしたら良いのかとおっしゃる諸兄。具体的な言葉は自分で考えてくださいね。大事なのは、「共感」ですよ。「共感!」。男性にとっては最も苦手とする感情表現です。女性の脳は「共感脳」ですから、夫から共感されればうれしいはずです。そればかりか女性の共感脳は、あなたに共感し喜びを分かち合ってくれるし、辛いことであれば慰めてくれます。専業主婦でも同じだと思います。

 これで万事OK。などと簡単にいけば良いのですが、そうもいきません。夫が仕事漬けになったのは、歴史的に深い理由があるのですから。

スポンサーリンク

日本人は本当に勤勉なのか

一生懸命真面目に仕事をしている最中

 ほんとうに仕事が大好きだという人は、いるのでしょうか? 世間で名の知れた「成功者」はそうかもしれません。はてさて日本人の美徳として「勤勉」が一番に上げられるほどですが、ほんとうにそうなのでしょうか。

 私がまだ子供の頃、高度成長期にさしかかった頃です。近所のおじさんたちの帰宅は決まって夕方でした。それから夕飯までの間、ステテコ姿で(夏の場合)近所をブラブラ散歩、玄関先で将棋などを指している場面もよく見ました。どこにでもある風景でした。

 江戸時代では、大工や左官職人は14時間ほどの勤務で済んでいたといいます。休憩は昼休みばかりでなく10時と15時にも休みがありましたし、雨が降れば当然休みです。

ただ、この時代は職種によってかなりのばらつきがありました。侍は10時から14時までが基本でした。商家の番頭や手代は午前8時から午後7時までの11時間労働、丁稚はさらに余分に1時間働いたそうです。

 こんな状況がいつから日本人は勤勉といわれるようになったのでしょうか。明治時代の「殖産興業・富国強兵」政策からでしょうか。戦後直後でしょうか。それとも「高度経済成長期」からでしょうか。おそらくこうした出来事を契機にしだいに勤勉といわれるようになったのでしょう。

スポンサーリンク

仕事を休むのが怖い、明るいうちに帰宅できない心理

明るいうちになんとか仕事を終わらせて変える事が出来たときの風景

残業を上司に頼まれて、「すみません今日は妻の誕生日なので」などと笑顔で断ることができるサラーマンはこの日本にいるでしょうか。

妻(夫)の誕生日に合わせて休暇が取れる制度をつくった会社が以前あったような気がします。有給休暇を取るための理由を事業主側が事細かに考えなければ、休暇がとれないというのは、ほんとうに馬鹿げています。

日本の労働者は「みんなが帰らないから帰れない」「仕事を休むのが怖い」「有給休暇を取るとみんなに迷惑がかかる」などと思うほどに飼いならされてしまっています。いずれも「赤信号みんなで渡ればこわくない」という悪しき集団主義です。

今までも各企業では、残業させない取り組みを行ってきました。掛け声ばかりでなく、時間が来れば電気が切れてしまうような、強制的に仕事をできなくすることなどもそうですね。

仕事漬けがいかに非能率的で家庭にも悪影響を及ぼすことは誰でもわかってはいるのでしょうが、なかなか残業の削減ができません。「仕事ばかりの夫」は、近い将来前世紀の遺物となっていることを期待します。

スポンサーリンク

「働き方改革」なにするものぞ!

「働き方改革」なるものが政府から提案され、20194月からの施行となりました。働き方などは政府がとやかく言うような問題でもないと思いますし、政府が主導すればどこかが歪められたりするものです。

基本は「労働基準法」がうたっていることを企業が誠実に履行することだけで、ほぼ達成できるのです。また「労働基準法」の規定は最低限の基準であって、各企業の努力で労働条件の改善をしなければならないものなのです。

そういう努力をしてこなかった企業は“何をか言わんや”です。御上からいわれなければ改善ができないのは悲しい限りです。

スポンサーリンク

仕事ばかりの夫まとめ

  1. 仕事ばかり夫は、妻に寂しい思いをさせていることをわかっているのだが…
  2. 共働きの夫は妻に小言を言うばかりでなく、妻に共感するこころを持つことが大切
  3. 残業しないことが人間らしさを取り戻す
  4. 働き方改革だけでは不十分、企業の自主努力が重要

「勤勉」は、はたして美徳なのでしょうか。私は、やはり美徳だと思います。労働は人間らしい営みだと思うからです。しかし、それは強制されるものではなく、そのやり方を指示されないということが前提です。

日本国憲法には国民の三大義務の一つとして「勤労の義務」がうたわれています。世界的にみてこれは大変珍しい規定だそうです。実はこの「勤労の義務」は1936年の旧ソ連のスターリン憲法に持ち込まれたもので、社会主義国に特有の規定なのです。「それがどうした?」と言われるかもしれませんが…。

「働かざる者食うべからず」から「働かざる者こそ食ってよし」に転換できれば、世の中変わると思いますよ。