私立学校教職員全般の給与について、1970年代終わり頃から“高い”と批判されてきました。そのころ高額な地方公務員給与に批判が高まっており、特に大阪市の衛星都市の高さが際立っていてマスコミで批判されていました。
国家公務員と地方公務員の給与額を比較するのにラスパレル指数という手法が用いられたのも印象的です。
正確な統計を持ち合わせていないのですが、当時は確かに私立学校全般が高額であったことは間違いないと思います。我が教職員組合でさえ父母に理解される給与の必要性を訴えるようになっていました。
はたして現在の私立高校教員の給与水準はどうなっているのでしょうか?
高校教員の年収を口コミなどから実態をさぐってみた
私立高校教員の給与水準については、正直なところあまり信用できるデータがあるとは思われませんので、この件に関心を寄せる人の口コミなどを見てみます。
「私立学校の年収は学校ごとに違う」
「5年前(2009年)年収700万円と聞いた」
「私立高校は一般の先生より全然高いでしょ」
「私立高校の給与は年功序列と経験年数で決まる」
「役職は50代なら1000万はあるんじゃないですかね」
「私立の中高はそれこそピンキリ。東京の有名私立は大学教授よりも給料が高いところもあるが、びっくりするほど安い私立高校もある」
等々。それぞれの見方からですが、一様に高いとの評価のようです。
この口コミの中に、給与の断定は年功序列と経験年数であるのは多くの学校はそうであると思います。具体的な額は700万とか1000万とか出ていますが、私の勤めていた学園の高等学校では10年以上前でも50代で1000万以上というのは通常です。
全体的に私立高校と公立高校で年収に差はあまりないが…
公立高校教員の給与は、地方公務員のため、各都道府県で定められています。
私立高校教員の場合は、その給与水準は公立高校に準じることになっていますので、同一都道府県の公立高校教員と大きく異なっているわけではありません。
おそらく、マスコミ批判のあったころからしばらくは私立高校教員の給与は高額であったのは間違いないと思います。
現在では、公立高校と比較すると、例えば愛知県の平成28年の平均年収は724.5万円となっているので、それほど変わらないのではないかと思います。ただ、私立であるがゆえに競争にさらされざるを得ない立場ですから、優秀な教員の確保のためにある程度は公立よりも高くなるのでしょう。
そうとは言え、私立高校教員の年収は学校によりかなりの開きがあり、ピンからキリまでであるのが実態です。
一方、有名私立高校では42歳を例にとると1000万~1200万円くらいは当たり前のようです。有名高校なら受験生も多く、経営的に安定しているからですね。
教員は授業以外での手当でも収入は変わる
教員は、当然のことですが授業を行うだけではなく、授業以外の活動に給与が支給されるか否かでも大きく変わってきます。
部活動の顧問や学年行事の企画、生徒会活動、学校経営に関わる業務、研修、保護者・PTA対応など枚挙にいとまがありません。
まとめ
- 私立高校教員の年収は高いとの口コミでの評価
- 現在では公立高校との差はあまりない
- 私立高校はピンからキリまであり、有名校はかなり高くなっている
- 授業以外の諸活動への給与が支払われるかどうかも差の要因
現在、私立高校教員への就職を考えているみなさんへ言える事は、いずれにしても狭き門であることは間違いなく、毎年募集があるわけではないということです。
希望する学校の募集がないこともあり得ますので肝に銘じておいてください…
私立高校を希望されるなら給与だけに目を奪われるのではなく、総合的な判断が必要であると思います。
一生の問題であるわけですから、年収以外に退職金や福利厚生面、その他の待遇も重要です。就職後こんなはずじゃなかった、という後悔がないように、求人票や募集要項などであらゆる情報を収集し、把握しなければなりません。
また、なによりも希望する学校の教育理念や教員体制と生徒への指導方法、経営状況も納得できることが必要です。