年を取れば、体の様々な機能が衰えて、その一つとしてボケになる可能性があります。しかし、平常時はなかなかそのようなことを想定することができず、家族で実際にその状態になると、家族はとまどい始めてしまいます。
この記事では、そうなる前に、家族としてどのようなことを想定すれば良いのか考えてみます。
小さな衝突の積み重ねがボケ始めのサイン
昨日買ってきた洗剤などを、来る日も来る日も買ってきたりする祖父。帰ってくるなり、「昨日も買ってきたのに!」と言われてしまう。これが1回や2回ならまだしも、何度も続けて起こるようになると家族も何かおかしいと思い怪訝な目で祖父を見るようになり始めます。
ですが、当の本人は、もちろん故意ではなく、家族のためのを思って買ってきているだけ。にも関わらず、なぜ怒られなければならないのか、理解ができず祖父は肩身の狭い思いをしてしまったり、あるいは激昂して激しい口論に発展してしまうかもしれません。
ボケのことを医学的に理解している人が家族にいなければ(それが普通でしょう)、家族は祖父に対して突き放すような態度を取るようになり、他方、祖父は良かれと思ってとっている行動を批判されるので閉じこもるようになります。
家族間ですれ違うことが多くなるので、空気が悪くなっていきます。これはよくありません。
ボケた祖父を家族が追い詰める
家庭内での小さな衝突が何度も続くようになると、家族は、祖父のことを恥ずかしい、あるいは独りで勝手に家を出て人様に迷惑をかけてほしくないと恐れるあまり、家に閉じ込めようとすることが多くなります。
家族は祖父に対する悪い感情に支配され、自分達が恥ずかしい思いをしなくてもいいようにと考え、医学的にどう対処すれば良いのか考えようとしません。
他方、ボケ始めてしまった当の本人は、自分に酷い仕打ちをしてくる家族と一緒にいるのが嫌になり、なんとかその場を逃げようとしますが、最終的には再び家族の元に引き戻されてしまいます。
世の中では、実際に、自宅の敷地内に鍵付きの小部屋にボケてしまった人を閉じ込め、食事を与える時意外は監禁してしまうケースが多数報告されています。
報道で露呈している分は氷山の一角であり、実際にはその何倍もの人達が同じような状況に陥っている可能性が高いと思われます。
家族がボケてしまった祖父を知らず知らずのうちに追い詰め、ボケの進行を加速させてしまうこともありえます。
ボケてきたかもと思ったら隠さずに周囲に協力を頼むこと
ボケが進行してしまうと、家族の誰か常に監視・介護しなくてはならなくなり、生活が立ち行かなくなる可能性が高くなります。
慣れない介護を伴った生活は長くは続かず、早い段階で歯車が噛み合わなくなる可能性が高いです。そのような最悪の事態に至る前に何か打つべき手はないのでしょうか。
先ず、家族全員が、ボケてしまった祖父のことを受け入れて認めることが大事です。その上で周囲に助けを求めるのがいいでしょう。
自治体から紹介されるソーシャルワーカーに相談し、対応の仕方を学ぶのが一つですが、相談件数に対してソーシャルワーカーの人数が少ないため、直ぐに対応してくれない可能性があります。
そこで活用したいのが地元の町内会コミュニティです。
顔見知りになっているご近所様に、「最近祖父がボケてしまって、もしかしたらご迷惑をかけるかもしれない、その時は連絡してくれないか」などとオープンな気持ちで相談してみるのが間違いありません。
実は、隣近所でも似たような状況を抱えている家庭であれば、お互いに見守る関係を構築することができます。
地域にコミュニティに普段から参加して横のつながりを大切にしておけば、町内会全体として助け合いの精神が醸成され、より安心した毎日を送ることができるようになるでしょう。
祖父がボケたときの情報まとめ
この記事では、家族がボケてしまた時にどのようなことを想定すれば良いのか考えてみました。
・日常生活でボケの前兆となる行動が出てくると家族間ですれ違いが生じ始める。
・恥ずかしいという感情に支配された家族が、ボケてしまった人を追い詰めて症状を悪化させ得る。
・ボケてしまったことを受け入れ、ソーシャルワーカーや地元のコミュニティに助けを求める。
普段から地域住民の横のつながりは非常にしておくことで、ボケた人の見守りを初めとした助け合いの社会が醸成されていくものと思います。