今の生活に不満があるかと問われたら、順調な方だとは思いつつも、満足とは言い切れないもやもやとした思いを抱えている。最近、特に理由は無いのに妙にイライラする…
そんな気持ちをお持ちのあなたが40代から50代であれば、それは「中年の危機」かもしれません。
訳さない言葉では「ミッドライフ・クライシス」といい、アメリカではもう社会問題になっているんです。日本ではまだなじみが少ない言葉ですが、確実に増えています。
今回はその「中年の危機」について、一体どういう意味なのか?どういう状態なのか?を詳しく解説します。
「中年の危機(ミッドライフ・クライシス)」のルーツ
精神科医にして心理学者のユングはご存知ですか?
名前は聞いたことがあると思います。彼は自身の経験も踏まえて、中年期(ミッドライフ)には「生の転換期」が必ず来ると言っていました。
これは自身の心の中で、人生の折り返し地点で起こる“深刻な変容”でユングの時代には、30代とされています。但し人生の折り返し地点は、現在では40代から50代とされています。
平たく言えば“人生の真ん中で、今までを振り返って悩み、見えてきた先に不安を感じる”という精神状態に陥ってしまい葛藤すること。これをカナダの学者が「ミッドライフ・クライシス」と名付けました。
中年の危機(ミッドライフ・クライシス)とはどんな状態を言うの?
色々なことに関して不安を抱く、不安障害があります。職場で、家庭で、親子関係で、将来に向けて、様々な部分で不安感を抱き“いてもたっても居られない”状況に陥ります。
また“このままでいいのか?”と、実態のわからない何かを取り戻そうと焦りを抱き、普段の自分なら取らないような行動をしてしまう。結果的に自己嫌悪するという悪循環も起こります。
中年になれば多かれ少なかれ、誰でも経験することで“こんなこと思ったことないなぁ”なんて方はいないと思いますが、ひどい場合にはうつ病を発症することもあり、そうなると相当深刻です。
中年の危機(ミッドライフ・クライシス)の原因は何なの?
専門的には、「喪失体験」が多くなってくることが一因と言われています。例えば親の死のような実際の喪失から、自分が培ってきた価値観が否定される、というような精神的なものも喪失に当たります。
年齢によって失うものが多くなってくるのは当然ですが “完全にあきらめるにはまだ早い” かといって “取り戻せる年でもない” 現状の板挟みになるのでしょうね。まじめな方ほどなりやすいというデータもあります。
また職場では中間管理職の方が多いでしょう。家庭的には、パートナーともそうそう円満なわけでもなく、お子さんがいれば勝手な事ばかり言う状況ではないですか?そのようなストレスの多い生活現状も原因の一つです。
中年の危機(ミッドライフ・クライシス)の自己診断は出来る?
お話しした様に、程度の差はあれ全員が経験すると言っても過言ではないと思います。実際自分の周りでも、全く気にしていないという仙人みたいな人はいません。
周りを見て「こんなはずじゃなかったのに」と思う。その感情から「本当にこのままでいいのだろうか?」と悩む。そして「まだ巻き返せるかもしれない」と思い葛藤する。これが基本症状ですから、当てはまらない方はいませんよね。
ただこれが、生活に支障をきたすような精神疾患に繋がったり、また生活を壊すような行動に繋がったりします。このような気持ちが強くなりすぎて、“眠れない”“何も手につかない”“消えたくなる”などの状態になったら、それは疾患です。一刻も早い受診をおすすめします。
まとめ
「中年の危機(ミッドライフ・クライシス)」は人生の折り返し地点で誰もが持つ心の葛藤で、そんなに珍しいことではないこと。但し、場合によっては精神的に重症化したり、生活を壊すような行動に出る場合もあることがお分かりいただけたと思います。
上手にストレスを逃がしながら、あまり考えすぎず生活できれば、それが一番の薬になると考えます。