【悲報】日本は大学入学時の年齢の違いに不寛容な後進国だった

大学入学年齢学校
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大学入学年齢が寛容の時代から不寛容の時代に変わった?

私が大学に入学したのは20歳になった翌年の4月です。世間一般に言う浪人で2浪ということになります。いろいろ回り道をしてしまった結果ですね。だからと言って引け目に感じたりすることは、正直なところ少しはありました。

ところが、入学するや1浪、2浪はざら。3郎や4浪にもお目にかかる始末。年上や年下の人とも同じ新入生という立場なので、そんな杞憂はすぐに吹っ飛びました。

年齢は多少違っていても、やはり同じ1回生(京都の大学なので~年生でなく~回生)ですから、同じスタート台に立ったのだという意識の方が支配的でした。また、同級生でありながら年上の仲間の貴重な経験談を聞けるのが、大学生活を豊かにもしました。

これはだいぶ古い話ですので、現状は少し変わってきているのでしょうか。かっては浪人に対して世間はいかにも寛容で、「よくがんばって大学へ入ったなあ」という評価が普通でした。

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各国の大学入学時の年齢はそれぞれ異なっている

 大学進学年齢

ところで、OECD(経済協力開発機構)が毎年発行している教育統計に世界各国の大学への入学年齢のデータが公表されています。

それによると日本の場合は18.1歳となっていますので、ほぼストレートで進学しているということでしょう。私の受験の頃は何がなんでも希望の大学へ行きたい。そのために浪人も厭わないという傾向が強かったように思います。

諸外国の大学進学年齢の平均は、スイスが最も高く24.8歳。次に位置するのがデンマーク23.9歳、スウェーデン23.7歳、フィンランド22.3歳。北欧諸国ですね。その他の主要国ではニュージーランド23.4歳、オーストラリア22.8歳、ドイツ22.0歳、イギリス21.8歳となっています。これを見ると、日本ほど特殊な国は他にないような印象ですね。

海外主要国の大学入学年齢が日本より高いのは、それなりの事情があります。一つは兵役です。兵役を終えてから進学すると高くならざるを得ないのですね。私が知っていた韓国留学生の場合は、日本の大学に入学後泣く泣く兵役につきました。ということは休学して卒業年齢が高くなるということです。

また、高校卒業後に進学のお金を貯めるために一旦社会に出ることもあるようです。お国柄や人それぞれで異なるようです。とにかく高校卒業と同時に大学進学という日本のような固定観念はほぼないといえます。日本では18歳で高校卒業してストレートで大学へ進学するのが当たり前のこととされています。

一方欧米では年齢に対して無頓着だと言えます。年齢差が上下関係につながらないお国柄です。

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社会人をもっと積極的に入れないと大学は活性化しない

 社会人大学

日本の大学ではその入り口を、実質的にほぼ高校新卒に限定していると言えます。例えば日本での25歳以上の大学入学者の割合は文科省の資料で2009年において2%です。OECD諸国の平均が同じく39.8%であるのと比べ極めて低くなっています。

日本では社会人が大学で学び直す文化が未だ定着していません。この社会人入学の少なさが、大学入学年齢が高校卒業即大学入学という現状と大学進学率の伸び悩みに大きく影響していると言えます。

高等教育においては初等・中等教育と違って、真理を究めるという学問研究を行うわけですから年齢の違いなどは全く無意味ですし、様々な年齢の学生がその異なった経験を生かして切磋琢磨していかなければならないのは自明の理です。

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「十有五にして学に志す。三十にして立つ…」は無意味?

不思議なことに、日本以外に高校からほぼストレートに大学に進学するという国があります。中国と韓国です。つまり極東の三国ということですね。三国とも儒教の影響を受けている国です。

どうも日本では人生のステージを一律に区切って、各段階の年齢になればその時点で獲得すべき能力が決まっているかのような社会的な了解があります。つまり、年齢の節目毎に到達していなければならない徳目や能力を設定して年功序列を重んじる儒教の考え方の影響があるのではないでしょうか。

もちろんそれは到達目標であるはずです。しかしそこにたどり着かなければ、極端に言えば「ダメな人間」とか「落伍者」のような扱いを受けることが少なからずあります。

落伍者となったらそこで再チャレンジができれば良いのですが、それはそうはいかず課題はそのままで中途半端で通り過ぎ、次のステージの課題へと向かわなければなりません。

高校卒業時に大学受験に失敗すれば浪人、新卒採用に乗り遅れたらニートやフリーターとなる道が大きく口を開けて待っています。

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まとめ

  1. 日本人は浪人を許容しない不寛容な意識に変わった?
  2. 大学入学時の年齢は、OECD諸国の中で日本が一番若い、大学入学年齢が国によって異なるのには理由がある
  3. いつでも学び直せるような状況を作って、大学を活性化しなくてならない
  4. 年齢にとらわれず自由闊達に勉学に励める大学生活が望まれる

大学入学年齢の違いで、その後の学生生活での違いやその後の人生への影響は全くありません。しかし、日本では高校を卒業すればストレートに大学入学へという道が当たり前だというのが大半の国民の意識であるのは間違いないでしょう。

このような不寛容さは、決して良いことではないでしょう。日本でも定年退職後、学び直したいという人が増えています。趣味であったり、新たなキャリア形成であったりと様々な目的でしょう。

このような問題意識を強く持った社会人学生が増えれば、高校卒業=即大学入学といっことを貴ぶ風潮はなくなるのではと思います。