「しめすへん」は「ネ」、「ころもへん」は「衤」ですね。よく見ればわかりますよね。「ころもへん」の方が、点が一つ多いので区別できます。これでは味気ない説明ですので、もう少し考えてみます。
はっきりしているのに、なんで間違えるの?
違いは、はっきりしているのに間違えてしまうのはなぜでしょう。おそらく次の要因があるのではないかと思います。
- 一つは手書きの字ではどちらか判別できない場合が多い
- 漢字は細かな字体よりも、アルファベットと違ってイメージで判別する特徴があるので、点が1個あるかないかは違いとして認識されにくい。
- 元々、どちらも字体を正しく理解していない場合に、その字は「~へん」ですと言われても、頭には「~へん」の漢字がイメージできない。
ということではないでしょうか。
それに、パソコンの普及により、自筆で漢字を書くことが極めて少なくなってきたことが、両者の区別ができなくなってきていると言えるでしょう。
「しめすへん」と「ころもへん」の意味からの区別
「しめすへん」と「ころもへん」は、形は似ていても意味は全く違います。「しめすへん」の元々の漢字は「示」です。「しめす」と読むから「しめすへん」です。「示」は何を表しているかというと、神様への捧げものを置いたテーブルを表しています。ですから「しめすへん」の字は神に関係する字ばかりです。例えば、「社」「祈」「福」「礼」「祝」「禅」「禍」などです。
「ころもへん」は、その元々の漢字は「衣」です。服の襟元を交差させた様子を文字に表したものです。ですから、着るものに関係する漢字なのですね。「被」「袖」「襟」「袴」「褌」などがあります。
奥が深いぞ、漢字は
少し話はそれますが、漢字の部首についての統一的なきまりのないややこしい事例があります。
みなさん、「初」という漢字はご存知ですよね。この部首は何なのでしょうか。多分「ころもへん」という思われる方が多いと思います。ところが、あにはからんや、多くの辞書ではつくりの方を取って「かたな・りっとう」という分類がされています。
「へん」で分類するのか「つくり」で分類するのかは、辞書によってその取り扱いが違うということですね。
「初」という漢字は、もともと衣服を作るときの「刀」で「衣」を切る「裁断」を意味する漢字で、「裁断」というのは最初にする作業はなので、「物事の最初」を意味するということだそうです。この漢字の成り立ちは、「刀で切る」ということが重要ですので、「ころもへん」分類されているのはまれだそうです。
実は、同一の漢字の部首が辞典で除となることはしばしば見られます。分類の仕方は、「字形」で配列する場合と「字義」で配列するという2種類に分けられ、日本の漢和辞典の多くは字義を重視した配列をとっているそうです。
「しめすへん」「ところもへん」を間違えない方法
「しめすへん」の漢字は、その意味合いから神様に関係するものが多く、「ころもへん」は衣服に関係した文字が多いのです。簡単ですよね。しかし、神様に関係するとじゃ、衣服に関係するとかと言ってもうわかりにくい字もあります。これは出会った漢字ごとに確認するしかないですね。
と言っても、いちいちそんなことを考えることも面倒ですし、意味の違いがあることを知っておいて、あとはパソコンで出た漢字を信じましょう。
まとめ
- 点一つあるかないかの違いだけなのに「しめすへん」と「ころもへん」を間違える理由
- 「しめすへん」と「ころもへん」意味からも全く異なっている
- 漢字を部首ごとに分離する場合、「へん」を基準にするか、「つくり」を基準にするのかは統一的な規則はない。
4.「しめすへん」と「ころもへん」を間違えない方法は、「へん」の意味から判断する