「インバウンド」という言葉を最近よく耳にします。
2013年の訪日外国人旅行者が1,000万人を突破したころから頻繁に耳にするようになり、インバウンドの対義語である「アウトバウンド」もいつしか頭に入ってきて、なんとなく海馬に納まってしまいました。
2015年には「現代用語の基礎知識選 ユーキャン新語・流行語大賞」にノミネートされています。
両語とも日本語でないことはわかりきっていますが、英語でinbound(インバウンド)とoutbound(アウトバウンド)です。
アウトバウンドとインバウンドの元々の意味は?なんだそんなことか
インバウンドは、「入ってくる」「内向き」の意味で、内側へ向かう動きを表す形容詞。または国際線の航空機や船舶で、本国に向かう便、帰国便。交通機関などが市内に向かうこと。
アウトバウンドは、「外向きの」「出していく」の意味で、外側へ向かう動きを表す形容詞。または外国行の、市外に向かうこと。
これが元々の意味ですね。一般的にビジネス用語として使用されています。
ビジネス用語としては日本独特のこんな使い方がある
ビジネス用語としては、業界や業務により意味合いは異なっています。
<インバウンド>の意味
●ビジネス一般:企業側が、顧客からの電話や来訪などを受け付ける形態の業
務。コールセンターの業務区分にも用いられます。顧客からの問い合わせ(電話を受信すること)を「インバウンドコール」と呼んでいます。
●インバウンドトラフィック:ネットワークを流れるデータのうち外から入ってくるデータ(量)。「インバウンドデータ」「インバウンド接続」ともいう。
●インバウンドマーケティング:オウンドメディアやセミナー、ソーシャルメディアなどで有益な情報を発信し、見込み客からサービスを見つけてもらうマーケティング施策。売り手側からの過度な売り込みではなく顧客側から主体的に選んでもらうことを主眼に置いている。
●インバウンドリンク(内部リンク):当該サイトのあるページから、同サイトのあるページへ貼られたリンク
<アウトバウンド>の意味
●アウトバウンドコール:企業側が宣伝や営業のために消費者に電話をかけること
●アウトバウンドトラフィック:ネットワークの中から外に出ていく情報(量)。「アウトバウンドデータ」「アウトバウンド接続」ともいう。
●アウトバウンドマーケティング:広告出稿をはじめ展示会や新規の電話営業など、売り手から見込み客に対してプッシュのアプローチを行うマーケティング施策。TVのコマーシャルや電車の宙吊り広告など、不特定多数の人に向けた施策が多い。
●アウトバウンドリンク(外部リンク):外部サイトのあるページから、当該サイトのあるページに貼られたリンク
観光立国の掛け声で最も多く使われる旅行業界用語
やはり、日本では外国人の訪日旅行の意味でインバウンドが使われることが一番多いです。インバウンドでは外国人には全く通用しませんのでお気をつけください。英語ではインバウンドツーリズムが正解です。
日本を訪れる外国人は、1977年は約103万人と出国日本人数の3分の1以下だったのが徐々に増加し、2013年には1000万人を突破、17年には前年比19.3%増の2869万人で統計開始以来の最高記録を達成しています。国別では相変わらず中国、韓国、台湾がTOP3の国となっています。
アウトバウンドとの比較では2015年に訪日外国人旅行者数が出国日本人数を上回りました。
日本の人口減少と高齢化は内需を減退させ、経済活動は下火にならざるを得ません。そういう状況の中で、インバウンドは外国から黙っていても需要が生まれるわけですから、政府も力をいれるわけですね。それに休暇の時期や取り方が日本と異なっていて、ほぼ年間を通して外国人訪問客が見込まれるわけですから日本の経済に大きな影響があると言えます。
実際に、赤字が恒常化していた旅行収支が大きく改善し、2014年には55年ぶりに黒字化し、2017年には7903億円、2018年は上半期だけで1兆2011億円の黒字で過去最大となっています。
まとめ
- 元々の意味は英語。日本ではビジネス用語として使われる場合が多い。
- ビジネス用語といっても、その意味合いは各業界で異なっている。
- 旅行業界で使われることが最も多い。
- 旅行立国は政府の政策でもあり、順調な伸びを続けている。
今後も伸び続けるであろうインバウンドですが、現在のところ(2017年)海
外旅行収支収入額の国別比較統計では世界の第11位、アジアで第3位となっています。東京オリンピックが開催される2020年には4000万人、8兆円消費が見込まれています。
観光産業を革新し、国際競争力を高め、日本の基幹産業としてするべくインフラの整備、人材育成やサービス強化が必要です。