「オオフサミミズ」というミミズを食べるという記事をネットで見てしまいました。250~500mmほどの大きさのそのミミズは、目をそむけたくなる巨大さです。多分この手のミミズには何度か出くわしたことがあるように思います。
記事では、なんとかば焼きにして食べたそうです。味はといえば、とにかく臭いようです。
都市伝説のような食用ミミズ
「食用ミミズ」が存在するのをご存知ですか。以前某ハンバーガーショップのパティ用の肉は「食用ミミズ」だという噂がありました。また某中華料理店のギョウザのたねというのもありました。
実際に私が聞いたのは貿易会社に以前勤務していた知り合いが、「食用ミミズの輸入があるんですけど、いったいどこで使うんでしょうね」という話でした。それ以来しばらくはそれを信じていたものです。もちろん噂のあった商品は食べることはありませんでした。
ミミズは食べられてきた
某ハンバーガーショップのパパティや某中華料理店のギョウのたねの噂はまったくの噂で事実ではありませんが、そんな噂の出所は具にもつかないようなものなのですが、いろいろあるようです。
それはさておき、「食用ミミズ」が存在するのは事実です。アメリカやオーストラリア、スウェーデンなどで養殖されていたとか言われています。ミミズは高たんぱくで栄養があるので昔から世界中で食べられているそうです。
役に立つミミズ
日本家禽学会誌の抄録によると、家畜の糞尿、パルプ工場廃液、活性汚泥など各種の廃棄物の処理にミミズが使用され、そのフンを土壌改良剤に利用されています。
栄養的には、ミミズを凍結乾燥し、粉砕して調製すると、56.4%は粗たんぱく質だそうです。無機物ではカルシウム含量が少なく、アミノ酸組成は、含硫アミノ酸含有量が低いといいます。この分析は養鶏用飼料資源としての有用性を調べたもので、養鶏用飼料資源として有望であるとの結論がでています。
また、2012年に開催された国連生物多様性条約の締結国会議で、国際自然保護連合の事務総長は「ミミズは、アリ、コケ類、土壌微生物は食料生産の英雄的存在と言っていいでしょう。というのも、それらの種がいなければ、土壌の生物多様性は崩壊し、食料生産は停止してしまうからです」と語っています。
とはいっても人間の食料として利用できるかどうかは、不透明です。スウェーデンでは、2016年に「これからは牛や豚の肉ではなく、ミミズの肉を食べよう」ということを提唱しています。驚きですね。さて、「ゲテモノ食い」に終わってしまうのでしょうか。
まとめ
- 日本における「食用ミミズ」の都市伝説は単なる噂だった
- ミミズの養殖はいくつかの国では行われていた
- ミミズは栄養価が高いので世界中で食べられてきた
- ミミズは土壌改良剤に利用されてきたし、養鶏資料としても有望である
- 国連生物多様性条約の締結国会議では、ミミズなどは土壌に多様性を維持し、食料生産の停止を防いでいる
- 人間の食料としての活用はまだ不透明
ところで、遺跡はほとんどの場合、土で埋もれていますが、何故だかご存知でしょうか。実はこれにもミミズが一役買っているのです。「訳わかんね~」ですよね。
普通、人がいなくなればその住居などに建物の構造物などの人工物が覆いかぶさったり、火山の噴火による火山灰や火砕流による土砂や岩、水害による土砂や植物の堆積、その他の埃や塵などが積もっていくものです。
ミミズの場合は、自らの糞や吐き出した土などが、地表に積もります。たった1匹では微々たるものですが、何万匹ものミミズが何万年もの長い時間をかけて遺跡を地下へと隠してしまいます。そのおかげで地面を掘りさえすれば、残された遺跡を確認することができるのです。