私は中学校(社会)と高等学校(歴史・地理)の教員免許状を持っているものです。しかし教員になったことはありません。
免許は取っても教職につく人は一部に限られるのは今も昔も変わりないです。
免許状は大事にしまってあるのですが、どこにあるのか忘れてしまっています。まあ、大体はそんな感じなのだと思います…笑
大学では教育学部以外でも、200以上の大学で教職課程の科目を履修すれば簡単に取得できます。私の母校でも多くの学生が教職課程を取り、免許を取得して卒業していきます。一時期は教員を多く輩出する大学として名を知られていました。全国どこへ行っても大学の先輩や後輩がいるような状況です。
しかし昨今の少子化に伴って、教員の需要は少なくなっているので残念な思いです…。
【公立中学校教師の年収】671万2128円(2017年データ)
こんな中学校をめぐる状況の中で、はたして中学校教師の年収はその役割に見合ったものなのでしょうか。
公立中学教員の平均年収は、2017年時点で平均年齢43.3歳、平均年収671万2128円です。月額給与41万9508円(全諸手当を含めて)で、内諸手当は5万6702円、賞与167万8032円となっています。
地方公務員と同水準ですね。公立中学の給与は基本的に地方公務員と同額ですから(手当によって違いが出てくると思われる)このデータは信頼できるでしょう。
(平成29年地方公務員給与実態調査結果等の概要 平均給与額(小中学校教育職)全地方公共団体より)
私立中学校は全面的に信頼できる統計がありませんが、ピンからキリまででかなりの差があることは事実です。有名校であれば公立よりかなり高いということはできます。反対に公立より低い私立校も結構あるということです。
東洋経済新報社が作成した129の「職業別年収ランキング」で」みると、高等学校教員が12位にランキングされています。中学校教員は見当たらないのですが高等学校教員の少し下位くらいだろうと思います。上位10%前後に位置するので、比較的高収入の部類と考えられます。脚注
少子化に伴う需要の変化
平成28(2016年)年10月1日現在の日本の総人口は約1億2千700万人で、6年連続で減少しています。
その中で15歳未満の人口は1578万人で、前年に比べ16万5000人の減少となっています。昭和60年(1985年)には2604万2000人であったのが10年余りで1000万人以上の減少です。子供の人口が減少していけば、中学校の教師の需要は減少して教師になりにくい状況が続いていきます。
さらに、中学校の採用試験の受験実態と免許状取得件数をみてみますと、
①平成30年度における公立中学の教育職員採用試験では、受験者数8万6,220人に対し合格者は1万3,046人となっています。合格率6.6倍です。
②教育免許状の取得者は平成27年度で中学校1種は43,700、中学校2種では2,081件で合計45,781件(=人)となっています。
と②ではデータをとった年度が違うのですが、現状でも免許を取得したとしても公立中学へ就職できるのは、限られています。
しかも、今後少子化に伴い国立教員養成大学の定員を減ずる方向で文部科学省は検討しています。増々教員になりにくくなると言えます。
日本の教員は忙しすぎる
教員の忙しさについてはマスコミなどにも頻繁に話題になっている。部活動の指導などは大きな原因としてやり玉にあげられている。最近では部活動を専門のコーチなどに委任するなどの取り組みも始まっている。いっそのこと学校での部活動などは廃止しても良いと思います。
部活動以外にも事務作業や行事の準備・運営、父母への対応(モンスターペアレンツ)、職員会議など残業は当たり前です。
経済協力開発機構(OECD)が公表した「国際教員指導環境調査」で、日本の教員の忙しさが指摘されている。中学教員の平均勤務時間は週53.9時間で参加34ヵ国・地域中最も長くなっています。参加国・地域の38.3時間の1.4倍にもなっています。
この点は喫緊の課題です。
まとめ
- 少子化にともない、15歳未満の人口が急速に減っている=教員の需要が減っていることを意味している
- 需要に対して免許取得者は多い。国立の教員養成大学では定員を減らすことを検討しているので増々教員になりにくくなる
- 教員の忙しさは世界的にも明らかになってきている
- 教員の年収は比較的高位であるが、単純には比較できないこともある
教師になりたいと思っていても、その需要は増々少なくなり教師になりにくい状況です
しかも教員の過重労働をめぐっては、報道で「学校=ブラック」というイメージが流布しているほどの状態。
週平均54時間労働ですから1日換算なら10時間労働とかなりの長時間勤務なんです…これではせっかくのやりがいのある仕事でも、元気で教師を続けられるはずはありません。
この問題を行政はいったいどういう方法で解決するのでしょうか。